Cage-084-033


朧げな身体、蝕む熱
前半です。長編な為分けさせていただきました。ただ致しているだけです。
無理矢理な描写があります。
受が宝石吐きます。
ピクシブに載せたものから規約の関係で少し表現をいじっております。
内容は少しだけ変更されていますのでよろしければお読み下さい。






 目の前には翠の目を閉じた金色の髪の小鳥。
 別の本丸の俺の写しで俺の偽物。

 俺が付けた痣が白い首筋に幾つも散り、まるで白い雪の上に落ちている花弁のよう。
 眠る前に蹂躙しつくした体を清めて着せた浴衣が少し着崩れ、胸元が空いていてそこにも幾つも花びらが散っている。


 顔の近くに置かれている彼の手首にはくっきりと縛った時のアザがついていて、痛そうなのだけれど、綺麗。


 何度もここで抱いて、犯して、壊した偽物が俺の腕の中で行為中に飲ませた睡眠薬で深く眠っている。
俺を、本歌と、行為中以外は決して呼べない写しが俺の腕の中。
 小綺麗な顔が眠りを貪っているのでさえ俺は欲情して、また抱いて犯して壊してやりたい、と思い、抱きしめている右手をするりと肉付きが幾分か良くなった腰から腿にかけての部分を撫で回す。
 布越しに撫で回し、初めに比べて変わった身体に手を這わす。
 たっぷり使った薬研藤四郎の作った薬が酷く効いているのか、何処も彼処も変化していっている。


そう、俺好みに。


 腰を撫で回しながら足元をはだけさせて素肌に手を這わす。
 柔らかい皮膚が手に吸い付くようで何度も何度も撫で回す。
 空いた左手で胸を撫で回して、着せた浴衣をいやらしいほどに脱がせる。
 眠ったままの写しが少し小さく呻いたので、そのまま体に手を這わせ胸の突起を弄り回したり、肉付きの良い尻を揉みしだく。

 ぅ、と翠の目を薄く開いて、自分の体を暴かれていることに気づいた国広は顔を後ろから体を密着させて腕を伸ばして自分を乱していく長義を睨む。
 殆どはだけてしまった浴衣の胸元を掴んで胸を弄ぶ男の動きを止めようとするが、薬の影響で手に力が入らず、簡単に逃げられてしまい、続けられてしまう。
 なんども胸を弄られたせいで胸が性感帯になってしまっている為か思わず腰がゆるりと動いてしまい、ぎゅう、と服を掴んだが、腿を撫で回す手つきが先程よりも艶めかしくなり、ぞくりと背筋が凍った。



「ァ」
「おはよう、にせものくん」
 耳元で囁きながら胸から手を離し腿に伸ばしていた手も離されたので、逃れようと身体を起こそうとするとおっと。と笑いながら先程まで身体に這わせていた手を口元に持ってくる。
 手には錠剤。そのまま嫌がって顔を逸らした国広の顔を首の根元から掴み口を開かせ強引に奥へと入れ込む。
 げほ、げほ、と噎せる国広の口に指を入れたまま抑え込み、指を中で動かす。
 くち、くち、と音を立てて掻き回すように口を乱していくと口の中で解けるように作られた薬は簡単に溶けだし、簡単に飲み込めるほど甘い甘い味へと変わる。
 音を立てながら口の中を掻き乱し、嫌がって痣が沢山着いた手を長義の手に這わす国広の姿に昂奮しながら口の生暖かくて柔らかい感触を指で楽しむ。

 口を散々暴いたところで口から指を引き抜くととろりと唾液が糸を引き、濡れた指先で唇を撫でる。
腰がひくんと動き、ゥあ、と声を漏らすその姿がいじらしくてたまらない。


ああ、壊したい。


「ねえ、にせものくん、それおいしい?」
 意地悪く、喉の奥へ入れた薬の感想を聞くと、力の入らない手でぱち、と口元を弄ぶ長義の手を叩く。
 指を口から出してももうひとつ飲ませようかな、などと耳元で囁きながら唾液で濡れた指先で胸の突起をくりくりと撫で回す。
 その指を引き離そうとして長義の指先を掴んだつもりが自分の胸を引っ掻いてしまったのか国広はひぁ、と声を上げてビクリと体を揺らせる。
 存在を示すようにふっくらと膨らんだ濃い桃色のソレは触って欲しいと言わんばかりに存在を主張している。
「ほら、溶かした薬はちゃんと飲み込めたかな?」
 くり、くり、とその可愛く勃ちあがった乳首を両手で嬲りながら、聞けば、国広はやめて欲しいのであろう。
 俺の手の手首を引っつかんで、力を頑張って入れようとしているのだろうが、全く力が入ってない。

「ゆび、ァ」
 肩を震わせゆっくりと快楽に堕ちていく写しがたまらなく可愛い。
 たっぷり飲ませたのは薬研が作った媚薬。
 なんども、なんども飲ませて、俺の指や手を覚えさせて、触るだけで反応するように何度も教えこんだ。
俺のものにならないにせものの足を何度も開かせて、俺を受け入れさせて、嫌がるからだに快感として教えこんで。


…それでもまだ俺のものにはなってくれない。




ちゃぷん、と音がする。





一通り行為が終わって、また風呂に入れられて。



隣には先程まで俺を犯していた男。

 逃げられないように足首には枷。風呂の床に繋がれていて逃げることも出来ず、ただ湯の温かさだけが身体に染み込む。
 俺が1人で入る時はなにか薬の入った湯で、2振りで入る時は普通の湯。これは何度も逃げ回って、意識あるうちに何度も彼に風呂に入れられたから、理解はしている。


この男は俺を壊して楽しんでいるのだ。


 国広が目を合わせることなく自分の傷だらけになった腿や手首を見ていると後ろから長義が腰に手を這わしてきたのに驚いて長義の方を見ればにた、と笑う。

「…あんたな、何度盛れば気が済むんだ。山姥切、長義」
「俺の気が済むまで、かな」
「腰が痛いし、あんたに強い力で摘まれまくった乳首に湯がしみてズキズキする。あんた俺の体壊す気か」

「その割に可愛い声を上げていたけどね」



 這わした手で腰を掴み、びくりと跳ねたのを見逃さなかった長義は逃げられない国広の腿を撫で回す。

 両手で腰を撫で回され身体に残った薬でまだ体が熱を持ち、湯がさらに熱く感じる。

「ん、やめ、ァ」
「そうやって可愛く喘がれると楽しくて辞められないんだよね、にせものくん」

 一体どこからそんな声が出ているんだろうね、とくつくつ笑いながら腰を撫で回し、内腿をつぅ、と撫でるとびくん、と身体が跳ねる。
 きっ、と睨んでくるが頬は赤く染まり、ねだるような目つきになる。


そう、体は従順に俺を求めてくる。



「もう、やめろ、と言って、ァぁあ!」
「…どこへいくのかな」
 逃げようと立ち上がろうとした国広を両腕で引きずり戻し、抱え込んで身体を撫で回す。
ざぶ、と音がして嫌がる国広が手や足をばたつかせる。
 風呂の底と足を繋げる鎖がさらに足にくい込み絡んで動けず、くい込んだ鎖の痛みに風呂の中に響き渡る程の悲鳴を上げてしまう。



 抱え込んだまま国広自身を指で扱くように手を動かせば嫌だ、と言わんばかりにばしゃ、と音を立てて逃げようと腕を伸ばす。
 助けを求めて空に手を伸ばして、ばしゃん、と大きく暴れるその身体を腕で抑え込めば、びくり、と大きく揺れた。



そこには何も無い。何も無い。



「ぅあ、は、離し、やだ、ほんか」
「よく出来ました。もっと扱いて楽にしてあげよう」
「ァ、あゃ」
 国広自身を扱く指先の動きを早めて、弄り回せばそれは何度も欲望を吐き出したはずなのに膨らんで、主張する。

 湯でさえもぞくぞくと肌を抉るようになぞっているような感覚は媚薬の効果と、自身を扱かれ敏感になる体の感触。

 ちゃぷ、ちゃぷ、と身体が揺れる度に揺れる水面が国広の理性をも侵し、腰が揺れ、ナカがたまらなく欲しくなる。
 この身体はまるで俺の意思など関係ないとでも言いたいようだ。

「ほ、ほんか、ァ、あ、なか」
「何?欲しいのかな、ふふ」
 我儘だねお前は、と口端を釣りあげて笑い、足を広げさせ国広自身を扱く手を下へやり、閉じられたところにつ、と指を這わす。
 ひく、と腰を揺らし乱れる写しに抑えが効かなくなり、自分のものが完全に勃ち上がってるのを感じる。

「何度、お前を抱いても、堪らないね、くにひろ、愛してあげようね」
 ゴクリ、と喉を鳴らして、目の前の小鳥を食い荒らす。
 脚を開かせて俺を受け入れさせて、俺でナカを満たして、ぐちゃぐちゃにして、俺だけしか見えないように。




壊す。





 金色と白のライン。黒色の上着。

 自分の本丸でずっと着ている服の替えを浴衣を全て洗っていると伝えて無理やり着せる。

 中の青いシャツは着せず、上着だけを着せて、下には何も履かせない。

 霊力異常の体でこの写しよりも幾分か大きい体をしているので服も大きめではあるが予想よりも遥かに大きいのかぶかぶかで、たくしあげた腕がひょろりと出ているようにしか見えない。

 ぱっくりと開いた薄い胸元が余計に白く見え、自分の中の欲が溜まっていくのを感じる。

 そもそもこの写しは少食なのもあり、ここに連れてきてから、自分が胃に溜め込ませる歪んだ霊力だけを食べて生きている。
そのためかこの神域に閉じ込めている間にだいぶ体が細くなっているのもあり、細身なのだ。

 自分の暴発するほどの霊力がスカスカになって、胃に溜まっていく俺の霊力を消化して宝石に変えて出すことすら、満足にできないほどに。

 下は履かせてはいないので腿はみえ、見えるか見えないかの長さしかない。

「…大きかったかな」
 くす、と笑えば目の前の国広がキッ、と睨んでくる。自分の服をぶかぶかと着ている写しが可愛くて、どうしようもなく逃がしたくない。


ただ、また俺を本歌とは呼ばない。


「…服が無いなら、この本丸の俺の個体の服を着せればいいだろう」


 あんた、ゆっくり脱がして遊びたいのなら俺の服の方が楽しいだろう、布の分脱がすのが増えて、と膨れ顔の写しは堪らないほど可愛い。
 俺の服を着た写しがとてつもなく可愛くて、歪み切った俺はどうしようもなく汚してやりたくてたまらない。

「そうだね、でもそれは偽物くんのものだから俺は楽しくない、かな」
「一緒だろう。俺も山姥切国広であんたの写しなのは変わらん。だけど俺はあんたの本丸の山姥切国広では無いだけだ。そうだろう、山姥切長義」

「お前に、うちの偽物くんの、服を着せたら、楽しくないだろう?俺が」
 ふう、とため息をつけば、目の前の写しがお前は何を言っているんだ、と言いたげにじとりと俺をみて服に手をかけている。


「…あんたの楽しいか楽しくないかは知りたくなかった。余計この服を脱ぎたい」
 チャックに手をかけるとやんわり手を握られ止められる。視線を合わせると藍色の目が国広を舐めまわすように見ている。

 その目付きにゾッとして目線をそらすとそれに気づいて口の端を釣りあげて笑った目の前の男が怖くなり、手をはたいて逃げようと逃れ、立ち上がり、部屋の扉に手をかける。

 手をかけたところで後ろから抱きとめられ、扉から手を離させられその手すら握りこまれる。
 手袋をした手で握られその手を離さない長義から逃れられず、腕に力を入れればいれるほど、長義に強く握られ、痛みに悶えると身体をさらに密着させてぴったりとくっつけたまま離れない。

 そいつの膨らんだソレが、自分の臀部に当たっている。

「お前のその身体を俺のものが包んでると思うと興奮する」
「あんた変態か?もう手を離してくれ、痛い」
「俺の匂いがする」
「いっ、ァ、おい手を離してく、手がミシってい…」
「堪らない…」

 手を握っていた手を離し手袋したまま手を這わせ撫で回しながら服をたくしあげていく。



何をしてもこの男は自分を抱くことは辞めないのだ。




 長義は国広の薄い腹を撫で回し、腹の柔らかな感触を楽しむ。

「この、悪趣味、腹なんて何も入って…」
「入れてやろうか?子種でも」

 声色に色が帯び、国広の腹を撫で回す手つきが変わる。
 まるで何かがそこにいるとでも言いたそうにねっとりと撫で、両手で包むように抑え込む。
 その手つきに寒気がして、逃れようと動くと長義の腕に力が入って逃げられない。国広を抑え込んだまま、慈しむように腹を撫でるのを続ける。

「たっぷり、入れて、お前のここに、俺とお前の子でも創ろうか?国広」
「死んでもゴメンだ。あんたが俺のナカに何を入れ込んでも全部吐き出してやる」

「はは、心配しなくても何度でも、作ってあげるよ。…でも、それも悪くなさそうだ…お前をずっと俺のところに置いておけそうだ」


 腹に這わせていた手がいつの間にか服を脱がし始めている。

 前を開き、顕にした胸を探るように撫で上げながら布越しの指で胸の突起を扱き、露出した臀を撫で回す。
 ふにふにと触って感触を楽しんでから内腿を撫で上げ脚を開かせる。
 開いた足に自分の片足を入れ込んで閉じれないようにし、くにくにと萎えている国広自身を触る。
手の動きを激しくし、硬さを持った突起を嬲り、さらに感度を上げさせる。

「ぁ、あ、ぃ、痛いァ」
 ぷっくりと膨らんだ乳首をふにふにと強弱をつけて触り、執拗に捏ねると甘く声を上げて腰を攀じる。
先走りが国広自身を撫でる長義の手を濡らし、手袋を汚す。
 乳首をいじる手を止めぬまま、先走りの着いた手袋を口で強引に剥ぎ取りそのまままた国広自身を触り指がぬら、と濡れ、そのままにちゃにちゃとわざと音を立て国広自身を扱き勃たせ、イカせるように彼自身を手で掴むように握り、くり、と先を指先で弄ぶ。

 繰り返したところでそれはひァァ、と肩を震わせ声を上げ、自身から粘着質な白濁の蜜を溢れさせた。



その姿が淫猥で、美しく、綺麗で穢らわしい。

「いやらしいな、お前は本当に」
 はぁ、と息を吐き、絶頂に達した写しにぞくぞくしながら、彼の臀に手を伸ばし、後孔に彼から溢れた蜜で濡れた指を入れ込みナカを犯し、引き抜く。


 脚を閉じようとする国広を扉に手をつかせ、臀を突き出すような体勢にさせ、脚を更に開かせる。幾度も繰り返したことで多少慣れたのか緩くなった後孔は少し力を加えるとぱっくりと開き指が入れやすくなり、ナカを犯す指を増やす。
 嫌がる彼が足を閉じようとしているが、腰が痺れたように言うことをきかないのか開いたままその行為を受ける体勢になっていく。

「ああ、でも…お前のものだけだと痛そうだから、もっとよくしてあげようね」
「ン、ん、もう、やめ、やめるって選択はないのか、この絶倫、」

 下に履いたズボンのポケットから催淫を引き起こす薬の入った真新しい潤滑剤を取り出して、片手で蓋を開けナカを犯しやすいように彼の双丘に塗りたくるように零す。
 ぬちゃぬちゃと音を立ててナカを開くように指を動かし、指で彼の敏感な所を刺激するように擦りあげると鼻を抜けるような甘い声を上げて喘ぎ、腰を震わせた。


「お前のここ、ぱっくり開いて、ほら分かる?」
「ぅあァ」


 く、と広げるように後孔を指で開いてやると、ナカからとろ、と潤滑剤が溢れる。


 まるで愛液で満たされ濡れているようなソレがいやらしく、変わっていく体に酷くそそられ、興奮する。
 悪趣味、と言われても仕方がないのだが、一応こういった薬を事前に時の政府の役人から試せと与えられているわけであり、薬研の作る薬だけではこういった反応は見られない。
 たまらなく興奮する。俺自身にも作用しているのではないかと疑う程度には。

「ほら、かわいいからだになった、くにひろ、俺を受け入れて」

 充分広がったそこに自分自身をあてがい、貫くように腰を押し付けると彼の敏感なところを一気に押し上げる。

「ァァあ!!!ん、いヤぁ!!!」
 逃げられないように腰を掴んで掻き回すように犯して、快楽を与える。

 扉に付けさせた手は強く握られ、突くたびにぁッあっと甘く声を上げる。ぐち、ぐち、と湿った音が響き、獣のような吐息を漏らして、彼の中を貪りながら、俺を咥えこませる。

 彼の足を中に吐き出した俺のものと潤滑剤が伝い、床に敷かれたカーペットにぽたり、ぽたりと痕がついていく。
 濡れた彼の奥を抉るように掻き回して、何度もナカに出し、潤滑剤の中に入った催淫剤が俺の理性も削り、目の前の小鳥の中を俺で満たすように何度も欲望を吐き捨てた。

 俺のもので腹が膨らみ、辞めてくれ、と懇願する国広の腹に手を這わせ、膨らんだ腹をねっとりと撫で上げる。
「ひぅッ」
「ねえ、ここ俺のものでいっぱい。もう戻れないように本当に創ってしまおうか?」
「ぃあ」
「2日なんて短い、お前が欲しいよくにひろ」

「や、だ、ほんか、んぁぁ」

 従順に喘ぐこの、壊した写しが、ただただ欲しい。
何度壊しても目が覚めれば元に戻ってしまう心を砕いて、カラダを俺だけのものにして、ここに閉じ込めておきたい。

何度も、犯して、何度も壊して、
たっぷり愛して、壊して
それでも綺麗な姿で立ち続けるこの偽物を堕として、俺の色を落とし続ける。

 幾度も入れ込まれた霊力を吐き出すこともできず、胃に溜まっていくばかりで苦しい。


 意識を手放して、そのまままた風呂に入れられたのか綺麗になっている肉体が軋んで、眠れもしない。
 いつもなら、俺を壊すまで抱こうとする自分を制するためなのか、行為中に俺に強制的に意識を飛ばせる睡眠薬を飲ませてくるはずなのに今日は飲ませる前に俺の意識が飛んでしまったのであろう。

 自分の身が綺麗になっていて、布団に包まれていることを認識した時には、月が高く上り、夜になっていた。

 浴衣が足りないなどと言われ、長義の服を着させられた挙句、興奮していたのであろう彼に幾度も噛まれた首が痛く、腰が軋み、胃がムカムカする。
 いい加減吐き出せるほどに胃の中には彼の霊力が溜まっているはずなのに、自分の霊力が追いつかず、吐き出すこともできないようだ。

 俺が欲しい、と何度も呟いては俺を抱いて、俺の理性が飛んで、あれのことを『本歌』、と言ってしまうことが増えていることに薄ら寒気もする。


 ゆっくりと体を動かして、布団から這い出てみれば、彼の姿はなく、それでもここは彼の神域で、何度も出ようとはもがいたものの、出ることは叶わなかった。
 どこにいても俺の居場所がわかるのであろう彼が必ず先回りをして、笑っているのだ。

 今なら、出れるかもしれない、と立たない腰に力を入れて、ゆっくりと立ち上がると貧血で視界がぐらりと揺れる。
 じわじわと目の前が暗くなって力なく畳に崩れ落ち、その視界の痺れがなくなってからもう一度ゆっくりと立ち上がり、部屋の扉を開けた。

長く続く廊下。
所々に置いてある橙色の灯。
たくさんある扉。
ゆっくりと歩いて、出口を探す。


 中に溶かされた彼の霊力が自分の中でぞわりと動き、彼が俺を呼んでいることに気がついて、逃げなくては。と足を動かす。
 息が上がり、視界が眩み、俺を満たす彼の霊力が自分の色を少しずつ変えていく。
吐き出せたら、楽になるのに。
 眠れもしなくなったこの体では、彼を吐き出せぬまま、胃の中は彼で満たされていく。

 屋敷から出ると空には青白い月。今夜は三日月に輝くそれが、自分を探す彼の瞳のようで恐ろしく、ごぽり、と音を立てて、胃の中の彼が、蠢く。

俺を探すな、俺を見つけるな。
俺はあんたのものじゃない。俺は、主の刀で、


と自分にも言い聞かせるようにゆっくりと陰に潜む。
暗くてよく見えないそこはどこから伸びているのかわからない風鈴と夜だろうが、風がなかろうがカラカラと回るかざぐるまが無数に差してある空間で。

 何度も俺を欲しては満たされないのか何度も欲しい欲しいと言う彼のような空虚な世界。



あんたは本歌の山姥切、そして俺はその写し、もともと俺は最初から、



カラカラ、カラカラ
ちりん、

ちりん…

風もないのに靡いて回って、音を鳴らしている。

空虚。




 ごぼり、ごぼりと胃の中が動く。
 いつまでも慣れない感覚に思わず体勢が崩れ、膝をつく。
 そのまま、自分の霊力が体を蝕むソレを吐き出すように消化をして、胃の中のそれが、石へと変わっていく感覚が全身を支配する。




とまらぬ吐き気で、 嘔吐くように咽せ、彼を吐き出す。



 がちん、かちん、と硬い無機物がぶつかるような音。
吐き出されたのは藍色の石。

 げほ、げほ、と幾度も繰り返し吐いて、体が痺れて視界がチカチカとして、そのまま、かざぐるまのなかに埋もれるように崩れ落ちた。

「…本当にお前は綺麗だね」


 神域から一度本丸に帰って、薬と包帯を手にして戻ってきたところで連れてきて閉じ込めていた写しが部屋にいないことに気がついてまさか、と思い、意識を張り巡らせて自分の霊力に満ちた空間から、焦げ付く太陽のような分家の写しの掠れた霊力を辿る。
 掠れていたと思い込んでいた霊力は俺が本丸に戻っている間に、異物の霊力を吐き出す力を取り戻していたのか、自身の霊力に守られたまま、寝室ばかりある屋敷の外の空間でぐったりと眠っていた。
 薬を毒と認識した体は血として体外に胃に溜め込んだ俺の霊力の塊と共に吐き出させたのであろう。


 体が疼いて薬無しでは眠れなくしたその体は完全に抱えても呻き声すら上げないほど深く眠っているようであった。
 浴衣は赤く血が滲み、手も赤く染まっている。
ぐったりとしたその体を抱え上げ、屋敷のいつも寝かしてある部屋へと戻す。

 布団に寝かせ、深く眠ってしまったそれの服をゆっくりと撫で回しながら脱がし、肌をなぞる。動かないそれの赤く濡れた口に口をそっと合わせ、幼い顔を両手で撫であげる。

「本当に短い、何度もお前を連れてきて、何度もお前を壊してるのに、お前はまた綺麗になって」

 あと何度抱けばお前は俺の、俺のだけのものになってくれるのだろうか。


 時々、呼んでくれるその名前は、俺ではなく、お前の本丸の俺を呼んでいるのだろう。

 愛しいこの写しの、特殊な。憎らしくて美しい「石吐き」。

報告をせねばならない。
また、石を吐き出し始めたと。 

 

「…迎えがきてしまうね、国広」
 憎々しく、吐き出せば、眠った国広を抱き抱える。
力の入ってないそれの髪からは俺の色が抜け落ち、綺麗な金色の髪に戻っている。

 どうせ瞳も夜空を写す海の翠色から空を写す翠色に戻っているのだろう。




ちりん。





ここで一つの鈴の音が途切れた。